小児科は来院される患者さんのかなりの部分が、風邪や下痢など何かしらの感染症を持っていることが多いものです。
ですから、あるひとの感染症を他のひとにうつさないようにする、感染予防策というのは大変重要です。

当院でも開院以来、感染予防策に関しては、色々と検討し、修正を重ねています。
ごく当たり前のことを、当たり前にやってきました。

1.時間で分ける
基本的には元気なこども達が来院される乳児健診・予防接種・アレルギー外来は、一般外来とは別の時間帯を設定しています。
午後の一番から始めることで、お昼休みの間にクリニック内の空気をきれいにし、清掃で細菌・ウィルスを減らし、クリニック内をできる限りクリーンな状態にすることができます。
ですので、もしも体調不良の方がこの時間帯に来院された場合は、クリニックの外でお待ちいただくことになっています。ご協力をお願い申し上げます。

2.空間で分ける
空気感染する病気が疑われる場合、隔離待合室でお待ちいただくか、クリニックの外の待合室でお待ちいただくか、駐車場の車の中でお待ちいただくよう、状況に応じてスタッフがご案内・お願いしております。
逆に感染症では無い方が来院された場合は、授乳室でお待ちいただくか、クリニックの外の待合室でお待ちいただくよう、やはり状況に応じてスタッフがご案内・お願いしております。

3.嘔吐(おうと)への対応
嘔吐をすると、ウィルスが混ざった吐物が強く床にぶつかり、細かな霧となって空気中に舞う恐れがあります。
速やかに吐物の処理と空気の清浄化が必要です。
嘔吐対応セットと空気清浄機を用意し、素早く対応ができるよう準備をしています。

4.飛沫・空気感染対策
飛沫感染(空気中に飛んだつばなどを介しての感染)の場合は、感染しているひとがきちんとマスクを付け、咳エチケットを守ることで、かなりの感染を予防できます。咳をする口元を押さえる場合は、ぜひ肘の内側で口を覆うようにしてください。

咳エチケット

咳エチケット

空気感染を完全に防ぐためには、「空間で分ける」ことが前提になります。
さらに、例えばミスト(霧)状になった病原体は、一種の空気感染として広がる可能性があります。
院内には空気清浄機をあちらこちらに置いていますが、トイレにもライト兼用で1つ設置してあります。
開院からずっと動いているのですが、気付いた方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。

トイレプラズマクラスター

トイレプラズマクラスター

5.接触感染対策
例えば話題になりました新型コロナウィルス肺炎などは、飛沫感染よりも、むしろ接触感染(ウィルスが付いているドアノブなどを触ってウィルスが手に付き、目や鼻・口から体に侵入する)が問題だとされています。

インフルエンザなど一般的なウィルス(エンベロープ ウィルス)は、アルコールでほぼ除菌することができますが、ノロウィルスやロタウィルスなど(ノンエンベロープ ウィルス)はアルコールではだめで、次亜塩素酸(キッチンハイターなど)での除菌が必要になります。
クリニックの入り口に置いてある手指消毒剤ですが、通常は「ウィル・ステラ」という消毒液です。これは割と高額な手指消毒剤なのですが、ノロ・ロタなどノンエンベロープ ウィルスにも効果があります(一応、院長のこだわりで、ちゃんと考えているんです)。市販品ですと、「手ピカジェル プラス」などもノンエンベロープ ウィルスに効果があるようです。

クリニック入り口手指消毒剤

クリニック入り口手指消毒剤

次亜塩素酸は確かに除菌効果があるのですが、刺激が強く、残留毒素(塩素)の問題などもあり、やや使いにくいのが難点です。しかしこの次亜塩素酸よりもさらに殺菌力が強力なものがあり、それがオゾン水です。多くの歯科医院で、器具の消毒に使われたりしています。

オゾン水の殺菌力は強力で、1ppm の濃度のオゾン水であれば、インフルエンザウィルスを5秒間で失活(殺菌)させることができます。新型コロナウィルスと同じコロナウィルスである SARS や MERS には有効であることが示されています。新型コロナウィルスに関してもデータが出始めています。

当院ではオゾン生成器、オゾン水生成器をそれぞれ用意して、オゾン・オゾン水を消毒に利用しています。ソファやカウンター、ドアノブなど手に触れる場所を、オゾン水で消毒しています。またこれまでは表面消毒のみだった本類も、オゾンでの燻蒸消毒を行います。

オゾン生成器

オゾン生成器

オゾン水生成器

オゾン水生成器

オゾン水スプレー

オゾン水スプレー

このように、感染症を扱うクリニックでは、いかに感染症を広めないか、ということに気を遣っています。最初に書きました様に、ごく当たり前のことを、当たり前にやっています。
当たり前すぎて我々は意識していなかったのですが、色々な感染症にご不安な方々のために、一度あらためてまとめてみました。

(2020.3.6.)

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