肌が乾燥しやすくなってきました(スキンケアの勧め)
ちょっと前までの猛暑が信じられないくらい、このところめっきりと涼しくなってきました。
外来では、ヘルパンギーナや手足口病、温度変化に伴う風邪やお腹の風邪(吐き下痢)が流行ってきました。
皆様、ご自愛ください。
調子が悪いときは、暖まるものを食べて、ビタミンCをとって、ゆっくり休む(眠る)ことだと思います。
また、涼しくなってきて、肌の乾燥が目立ち始めるようにもなりました。
一番の乾燥ピークは、もちろんこのあとの冬場になるのですが、今から少しずつスキンケアをするのもありかな、と思います。
当院で良く処方する保湿剤は「ヒルドイド」各種です。
もちろんワセリン(プロペト)でも良いのですが、ワセリンは皮膚に膜を作って乾燥を防ぐものですから、べたつきますし、本来の意味での保湿剤ではないと思います。よだれかぶれなどの対策には有効ですが、院長の考えとしては、通常使う保湿剤としては使いにくいと思っています。
ヒルドイドのジェネリック(後発品 ヘパリン類似物質)は、皮膚での水分保持能力がヒルドイドに劣る、という報告もあり、当院ではあまり積極的にはお勧めしていません(が、ヒルドイドの販売メーカーから、ワイロや宣伝広告費はもらっていません。くれるなら嬉しい。 笑)。
乾燥があまりにひどい場合は、しっかりヒルドイドを塗って、上からワセリンでふたをする、という使い方は有効だと思います。
遠い昔、研修医の頃、「軟膏は、まず一番効いてもらいたい薬を最初に塗る」と教わりました。複数の薬を塗るというのは、皮膚の上に薬の層ができるイメージでしょうか。一番下、皮膚に接した薬から浸透して効く、というのは、なんとなく理解できます。
市販の保湿剤では、「ロコベースリペア」が最強と信じています。セラミド・遊離脂肪酸・コレステロールと、皮膚の細胞をくっつける接着分子がそろっています。塗った直後はベタベタしますが、1時間もすればしっとりなじみます。寝る前に付ければ、翌朝結構しっとりします。値段が若干高めですが、それだけの効果はあると思っています。
もちろん、セラミド含有の「キュレル」シリーズも良いと思います。
国立成育医療センターが、スキンケアと食物アレルギー発症に関する研究をしたときは、「2e(ドゥーエ)」を使いました。
ほかには、「ニベア」その他クリーム系でも悪くないと思います(価格と相談です)。
市販のグリセリンと精製水で「グリセリン液」を作っても良いと思いますが、濃度と清潔さ(汚れやすさ)に注意が必要です。
保湿剤は最低限、お風呂上がり5分以内のホコホコしているときと、朝起きたときの、1日2回塗るのが良いと思います。
保湿剤の塗る量は非常に重要で、アレルギー学会や皮膚科学会では、「FTU(フィンガー チップ ユニット)」という単位を推奨しています。
1FTUで掌(てのひら)2枚分を塗ります。
ざっくりとした案内は、こちら にありますが、一点だけ注意が必要なのは、薬が入っているチューブの口の大きさで、小さいチューブですと「人差し指の先端から第一関節まで」で「1FTU」に足りないことがあります(第二関節まで必要なことが多いでしょう)。
早めにスキンケアを始めて、すべすべ肌を目指したいと思います(でも、赤く痒みがあるときは、当院や皮膚科などにご相談ください)。
(2020.12.21. 追記)